山本紀夫さんの記念シンポジュウム

金井良碩


 登山・探検・フィールドワーク…地球の高みに向けて…と題されて、国立民族学博物館教授山本紀夫さんの秩父宮山岳記念賞受賞および定年退官記念公開シンポジウムが去る3月25日に民博で開催された。
 主催は民族学博物館、後援は日本山岳会、京大学士山岳会と西堀栄三郎記念探検の殿堂からなる催しである。
 山本さんとは1970年のアタカマ高地探検隊でご一緒したが、当時は京大の植物学専攻の大学院生で、ジャガイモ、とうもろこし、唐辛子など南米起源の植物の原種を探す植物学者であった。
 その後、国立民族学博物館の開設に伴い研究者として招かれ、次第に植物学から、より幅広い民族学へと展開された。
 その後も山本さんはアンデスに通い続け、アンデスでの農耕と牧畜の高度差と季節の関連に着目して、インディオが季節によって高度を変えて生活する知恵に気づき、やがて、ヒマラヤヘ出かけ、高度差を利用した農耕、牧畜スタイルの共通性を指摘し 「環境利用の特質」としてまとめられた。
 今回のシンポジウムは斎藤惇生元日本山岳会会長の挨拶で始まり、冒頭で、京都大学学士山岳会70年の歴史が映像紹介され、引き続き、斎藤清明、松林公蔵、鹿野勝彦、石毛直通、といった世界的なフィールドワーカーの講演、そして最後に、山本さんの 「伏見桃山から世界の高地へ」 と超する話で締め括られた。
 山本さんはこの中で、アンデスのプレインカ文明、チベットのポタラ宮に代表される仏教文明、そして、エチオピア高原のオベリスクの存在など、高地での古代文明は、今日、文明の起源とされる大河文明にも十分匹敵すると述べられた。これを高地文明と名づけてさらに今後の研究課題とするとのことである。
 さらに、ライフワークとして1.子供たちが自然に親しむ機会を多く作る。2.青少年でも分かりやすいフィールドワーク出版物の刊行。3、フィールドワークを基にした優れた業績の論功行賞の創設、など実現したいと夢を述べられ、参加者に感動を与えた。
 このシンポジウムの参加者は約400名、関西支部からは重廣支部長はじめ20名程度参加した。また、シンポジウム終了後、懇親会が阪急ホテルエキスポに場所を変えて盛大に催された。