白山・加賀禅定道から中宮道



                 山内 幸子

2003.7.31〜8.2

コースタイム
7/30
9:20 JR宝塚―美山町天狗そば―14:30一里野―岩間温泉元湯
17:40一里野 花くるみ

7/31
6:40 花くるみ発 8:15〜30 ゴンドラ終点駅 9:15〜30 ブナ林 9:40 木の実谷頭 10:00 檜倉 10:00 緑谷峠 10:30〜11:30 しかり場分岐 12:05 口長倉(1661) 12:30 稜線小休止
14:10 奥長倉避難小屋 水くみ 15:00〜16:10 夕食

8/1
4:00 起床 5:30 発 6:20 稜線 6:30 美女坂頭
6:55 百四丈滝 お花畑 7:45〜8:35 天池 9:25〜50 油池
11:10 長坂 11:45〜12:35 四塚山(2530) 13:00 お手水鉢13:45 室堂との分岐 14:15 大汝峰(2684) 14:30 北縦走路分岐15:15 お花松原 15:30〜16:00 雪解けの水場 17:00 北弥陀ヶ原 17:30 地獄覗き 19:20 ゴマ平避難小屋

8/2
7:05 ゴマ平発 7:50 カエデ坂上部 8:00〜9:10 休憩
9:25 滝ヶ岳 10:15〜10:35 シナノキ平避難小屋 11:30 トチノキ坂 12:10〜50 昼食 13:30 中宮道登山口着 中宮温泉

8/3 
白峰温泉 平泉寺に寄り帰阪 

山行記

7月30日(水)
 朝からのほうがゆっくりするので、JR宝塚9:20集合。多賀で休憩して北陸道へ。福井ICで下りてR157へ。美山町の天狗そばでボリュームあるそば三昧を食べ、大野からR157で谷峠を越え白山一里野へ。予約してあった花くるみはすぐに見つかる。時間があるので岩間温泉元湯へ行くことにする。岩間の噴泉塔群まではさらに小1時間かかるので元湯止まりにする。
 車は新岩間温泉までしか入らないのでここからは林道を3キロほど歩く。オオバギボウシの花がたくさん咲いていた。中の川を見下ろしたり、崖崩れの跡をのぞき込んだりしながら林道を歩いていく。温泉は橋を渡ったすぐ左側にあったのに、湯けむりに気をとられて上へ上へと登っていった。これはおかしいということで来た道を戻って温泉を見つける。
 男性軍は烏の行水よりも早く、女性軍はのんびりと湯に浸かる。空やまわりの山々見上げながら温泉は大変気持ちがよかった。帰りは汗ばむこともなく爽やかな気分で林道を車のある岩間温泉まで歩いてきた。6時前に宿に戻る。

7月31日(木)
 今日は水場がないので、ポリタンを満タンにして、出発。
薄曇りの中、少しでも楽をしようとして車でゴンドラの頂上に行く林道の途中まで送ってもらう。ゲレンデを突っ切るとゴンドラ頂上駅に行けると思っていたが、谷が一つちがうので林道に戻り、小雨の中の林道歩き。ゴンドラ始発(9:30発)の人たちと一緒になるのではないかと心配したが、なんとかゴンドラ始発より早く頂上駅に到着して加賀禅定道に入れた。登山口まで送ってもらい登山口から歩いた方が早かったようだ。この道の入り口は去年の春山スキーで行ったときと同じであった。
 加賀禅定道は樹林の中の道で涼しく静かに歩ける。ゆずりはやおおかめの木、みずならなどの木々が目立っていた。ゴゼンタチバナ、マイズルソウ、稚児ユリなどの多い道であるがもう花の時期は終わっていた。モミジカラマツも多かった。 
 ブナが立ち並ぶ傾斜の緩やかなところで小休止。風が涼しく気持ちがよかった。檜の大木が出てくると檜倉だ。大人一人で抱えきれない位の大きな檜が立ち並んでいた。
 登りが続き東からの尾根と合うところがしかり場の分岐だ。今日は時間があるので避難小屋までゆっくり行くことにする。
口長倉の頂上には長倉山の標識があった。いくつかのピークを越し、ササ原を登る途中に赤く丸い屋根の避難小屋が目立たぬように建っていた。この避難小屋は畳や布団まであるきれいなけっこう広い小屋であった。水をくみに水場まで下りてみたがやはり雪解けの時期でないので水は流れていなかった。がぶ飲みを控え、運んできた水で夕飯にする。
 夕食後、小屋の横の道に立ちまわりを眺めていると、雲海の中から笈・大笠が顔を出し、シリタカ・冬瓜も見えてきて、とても幻想的な光景になってきた。ガスの切れ目から長倉を眺めたり、日本海を見ながら夕日が落ちるのを待った。
雲を真っ赤に染めて雲海の中に沈む太陽をみんなで眺めていた。
 暗くなり始めると星が一つずつ見えだし満天の星空になった。金沢あたりの町の灯も見えだし、寒くもなかったので、首が痛くなるまで星空を見上げていた。北斗七星、北極星、カシオペア、天の川にかかる夏の大三角形を見つけた。星座がわかればもっと楽しいだろうなんて言いながら、夜の更けるのを楽しんだ。きれいな形をしていた三日月もとっくに沈んでしまっていた。
 夜中も星が消えることなく輝いていた。夕暮れ近くになって小屋に入ってきた単独行のおじさんが感動したと言っていたお花畑を楽しみにシュラフにはいる。

8月1日(金)
いよいよ核心部へ。今日の行動時間は長い。早い目に小屋を出る。
朝露がひどい。トップはすぐに靴の中が川に入ったようにぐちゅぐちゅになるだろう。先頭を中島さんが行く。ササ原を登りきると奥長倉山だ。道標も何もない山だった。登りにかかると朝露も楽しまなくてはとそれぞれササに口を付けて、大きな露を飲みながら歩くことにする。
尾根の細い美女坂を登り美女坂の頭に着く。谷向こうの清浄ヶ原から落ちる百四丈の滝が見える。展望を楽しんでしばらくするとお花畑に出る。この辺りに来ると阪下さんと久保さんの山の歌が出てくる。ハクサンチドリ、クロユリ、ニッコウキスゲ、ハクサンコザクラなどの花がいっぱい咲いている。ハイマツの道を抜けるとまたお花畑。ニッコウキスゲはまだ開ききっていなかったが、ハクサンコザクラの群生がみごとだった。クロユリも群生している。
石垣の残る天地室跡を過ぎると水のきれいな天池に着く。ここでティタイム。お湯を沸かしコーヒーや紅茶をふかし餅とともにいただく。湯冷ましの水をポリに入れる。
ハイマツの根っこを踏みながら歩く。その間にクルマユリが可憐に咲いている。ハクサンイチゲ、チングルマ、キヌガサソウも顔を出し、たくさんの花が見られた。四塚山を見ながらひたすら長坂を登る。四塚山の向こうに今日の最高峰大汝も見えている。やっと辿り着いた四塚山は花がきれいなところだった。ここでゆっくり昼食にする。
 四塚山は平坦で仙人が竜馬(きわめて優れた馬)を調教した場所といわれているので龍ヶ馬場とも言うそうです。イワイチョウがみごとだった。ここに石積みの塚がある。麓の村で悪さをしていた四匹の猫が封じ込められた場所とされている。塚は小さいものまで数えると六つもあった。この猫は後に助けられ麓の一里野に住み着いたとされ猫ヶ島(ねっかしま)と呼ばれたようです。今も一里野にねっかしまという名前が残っています。

 北竜が馬場といわれている岩間道、釈迦新道の分岐である雪渓の残る所を過ぎ、七倉山と大汝峰との鞍部に着く。ここから見る地獄谷から突き上げている火の御子峰は赤茶けて急峻である。お手水鉢を過ぎると石の多い大汝への登りである。
大汝峰にある大汝神社は石垣の中に建てられている。白山三山の一つであるがここはあまり人が多くない。今まで出会った人はわずかで静かな山歩きができた。
 大汝から下り、北縦走路にはいる。中宮温泉をめざして進む。ここからちょうどゴマ平まで8.8キロ。翠ヶ池の横、剣が峰を見ながら下っていく。ヒルバオ雪渓を横切り、間名古に続く稜線に上がるあたりがお花松原である。まだ雪がたくさん残っていたのでお花松原の入り口まで雪渓がせまっていた。だから、ここのニッコウキスゲもまだ蕾が多かった。ナナカマドが多く秋にはみごとに紅葉し、真っ赤に山肌を染めるだろう。

今回一番花の綺麗だった北弥陀ヶ原がこれに続く稜線上にある。顔にかかるほどの枝を張り出すハイマツ帯を抜けると、お花畑。お花畑を通り過ごすとまたお花畑、池糖を持つお花畑の連続で本当にみごとで感激しっぱなしだった。ハクサンコザクラ、クロユリ、ニッコウキスゲ、クルマユリ・・・みんな群生だ。あいにく先を急ぐのでゆっくり腰を下ろして眺めることができなかった。見飽きることのないお花畑だった。花の種類も多く数え切れなかった。
アップダウンの少ない稜線を歩く。三方崩山の南斜面が大きく目の前に見える。本当に大きく崩れており名前の通りであることがよく分かる。地獄谷を見下ろす地獄覗きを過ぎ、三方崩が姿を消すと今度は間名古の頭の壁が目に入ってくる。この壁は登れず、道もピークをはずしトラバースしている。間名古の頭を越すと三俣峠である。

最後にほんの一登りをしていよいよ下りにかかる。7時をまわって薄暗くなってきたが、なんとか明るいうちに小屋に着けそうだ。木の陰は薄暗いので念のためにヘッドランプを付けるが、なくてもなんとか歩けた。急な下りが終わると小屋の前に出た。思わず万歳の声が出そうだった。混んでいるのではと心配したけれど先客は一人だった。声をかけて2階に上がり食事をする。すぐに夜のとばりが下りてきて真っ暗になった。
 長い一日がようやく終わった。14時間も行動したハードな一日だった。ゆっくり山や花を眺めたり、お茶をしたり、ササの露を飲んだり、おまけに雪解け水で体を拭いたり、いろんなことをしながら楽しく歩けた。あまりにゆっくりするものだから今日はビバークだなんて言いながら歩いていた。今日の一日は誰にとっても忘れられない感激の一日だっただろう。小屋では遅く着いたので、大喜びの声をあげることともせず、できるだけ静かにしていた。
 しかし、我々よりまだ上手の人がいた。眠りはじめた頃、9時を過ぎてから小屋に着いた人は、遅いのにもかかわらず、料理をしたり、ガタガタとうるさかった。話す声も大きく先客の人と一悶着あった。
 寝入りばなを起こされたためか、疲れ切ったためかよく眠れず、夜中に何度も目が覚めた。

8月2日(土)
 今日はいい天気である。下るだけだからゆっくり寝ているつもりが、下の人たちの物音で起き出す。夕べはどうなることかと思ったが、二人はなんとか仲直りをして山の話をしていた。
 水場でたらふく水を飲み、ポリに汲んで下りはじめる。カエデ坂を下り、途中白山三山や昨日歩いてきた稜線がよく見えるところで大休止。岩間新道の尾根に隠れて加賀禅定道は一部しか見えなかったが。一時間以上休む。今日は急がなくてもいいので休憩ばかり。今度行きたい北縦走路の山々も見えている。妙法はおもしろい形をした山である。
シナノキ平の小屋の前でティタイム。トチノキ坂は大きなブナが多く心までゆったりしてくる。今日の道は枯れ葉が多く足にやさしい柔らかな道が多かった。しばらく歩き、山での最後の食事とお茶をする。だんだん大汝や間名古などの山から遠ざかり、ゴンドラ駅や岩間温泉の元湯などが見えだし山も終わりに近くなってきたことがわかる。
中宮温泉の建物が見え出すと下りが急になってくる。山崩れ防止の作業をしているので階段にモノレールがセットしてあり、それがじゃまになって下りにくかった。モノレールを何回かまたぎながら中宮道登山口の標識のある登山口に到着する。記念撮影をして、中宮温泉のにしやま旅館で檜の風呂と露天風呂に浸かって山の汗を流しビールで乾杯する。帰る頃に川向こうの道にカモシカの親子が姿を見せてくれた。カモシカの親子にまで歓迎されて白山北側の縦走が終わった。
 花くるみの主人に迎えに来てもらって宿に帰る。夕飯は、ごちそうしてねといっていただけあって品数、ボリュームもあった。
 夕飯後、花くるみの営業成績をいかにして上げるかの話で盛り上がる。

8月3日(日)
 朝の散歩で、ねっかの森を通ってきた。朝も夕べの続きで盛り上がる。
 白峰温泉に寄り、トチ餅を食べ、固豆腐をお土産に買い、平泉寺によって帰る。

都会の喧騒を逃れ、静かに花を愛で、大自然にたっぷり浸かり、山の良さを100%味わえた素晴らしい山であった。白山の本当の素晴らしさを少し味わえたように思える。砂防新道、室堂だけが白山ではありません。隠れた良さがたっぷり味わえるコースでした。白山って懐の深い素晴らしい山です。みなさんも是非どうぞ。( 記 山内 )

同行者  中島 隆、浦上芳啓、阪下悦子、久保和恵

思いつくままにあげてみてもこんなにいっぱいの花がありました。
花や実
マイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、ミヤマタンポポ、マツムシソウ、ヨツバシオガマ、イブキトラノオ、エゾイブキトラノオ、フデリンドウ、コバイケイソウ、チングルマ、ハクサンコザクラ、ハクサンチドリ、クロユリ、クルマユリ、ササユリ、アオノツガザクラ、ツガザクラ、コケモモ、アカモノ(イワハゼ)、クロマメノキ、イワツメグサ、コイワカガミ、キンコウカ、ウバユリ、カラマツソウ、モミジカラマツ、ハクサンフウロ、ハクサンイチゲ、イワイチョウ、ミヤマキンポウゲ、ハハコグサ、キヌガサソウ、エンレイソウ、ベニバナイチゴ、ギンリョウソウ、ツバメオモト、ユキザサ、

ブナ、ナナカマド、ダケカンバ、リョウブ、ミズナラ、ゆずりは、オオカメノキ、のりウツギ、ヤマアジサイ、ツルアジサイ、イワガラミ、ハクサンシャクナゲ、ミヤマホツツジ、夏ハゼ、ハイマツ、ハクサン

                 等々