ブータン訪問

新井 浩




ブータンヒマラヤ展望(左端がマサコン)

 昨12月下旬にブータンを訪問した。「マサコン峰京大隊登頂20周年記念」 のツアーで、栗田団長 (当時の副隊長) 以下11名の旅であった。今一度マサコンに対面したいとの思いと、ブータン関係者を招いての記念パーティを開催するとの目的があった。以下最近のブータンをレポートさせて頂きます。

1.入国について
 20年前私は 「西遊旅行」 の世話で入国したが、今回はブータンの公認国内業者である
「Lhomen Tours & Trekkings Co.」に依頼した。ここの社長がかつての政府TOBの責任者で、登山隊が世話になったとの関係による。ビザの申請・空の手配・日程など基本的手続きを行ってくれる。よく言われる入国制限はない。が、通常は3人以上のグループに限られる。一泊一人当たりUS$200が公定料金となっていて、宿泊・食事・車・乗馬・ガイドなどの料金がパッケージされている。

2.パロ国際空港
 国営の 「ドゥク・エア」 のみが運航している。日本からはバンコク経由が便利で、週5便ある。往きはバンコク泊が必要で、帰りはバンコクで当日中に乗り継ぎ可能である。
 エアバスA319が就航しており、サービスなどは向上している。ターミナルの建物は鉄筋コンクリート造りの立派なもので、外観が伝統の極彩色のブータン式であった。山国だけに、着陸時の山並みを縫うように滑り降りるスリルは、一瞬寒気を誘う。これだけは以前と同じだった。

 パロ空港

3.パロ。標高2300m
 空港に立つと、周りに緑の山があり、パロ盆地の大きさが分かるというもの。山腹にパロ・ソン・国立博物館、尾根に白いダルシン(経文旗)、点在する伝統的大農家などがブータンの第一印象となろう。パロの市街は拡張中で、商店通りが二本になっていた。夜は円形の国立博物館に照明が入り、闇に浮かんで見え、とても綺麗であった。
 郊外にブータンのシンボルと云われるタクツァン僧院が、500mはある岩壁上に建立されている。ブータンに仏教を伝えたパドマサンババの聖地として崇められており、人気の観光地である。登山口から馬にて約2時間、下りは歩いて1時間半ほどである。

 崖上のタクツァン僧院

4.首都ティンプー 標高2400m
 パロからティンプーヘの国道は、昔ながらの長閑な風景であった。道路巾がやや狭く、トラックとのすれ違いはヒヤヒヤものであった。渓谷沿いの道路だけに拡張は難しいのであろうか。
首都に入るティンプー谷には、ハイウェイ道路の建設中で眼を見張った。さらに中心地に入る手前に新築中の建物がたくさん見られた。官舎とのことであった。また、市街地もかつての素朴なストリートは、4〜5階建てに変身しており、車の往来もあり、ここでもホテル建設ラッシュが目立っていた。しかしながら、すべてについてブータン式デザインを保持し、オリジナル文化を守ろうとする姿勢があり、独特の近代化を遂げつつあると思われた。
 我々の両国友好を願ってのパーティは、大臣・局長などの出席を得て大盛会であった。

 記念パーティで挨拶する栗田団長

5.ドチュ・ラ峠 3150m
 ティンプーから東のプナカヘ行く途中にこの峠がある。峠には新しくチョルテンが建てられており、まわりに108基の小型チョルテンを従えている。北側のブータンヒマラヤ連峰が見渡せる最高の展望台で、マサコンは青空の下、すっきりとその姿を見せてくれていた。ロッジに一泊し、翌朝お坊さんを呼んでのプジヤ (法要) を執行した。
山の清浄・環境の保持を祈願したのである。峠の東にカフェテリア・展望所があり、京大隊寄贈の双眼鏡が備えられている。近く山座同定の銅版が設置される予定である。





6.ブナカ 標高1300m
 亜熱帯気候の地で、ここにブータン随一と云われる巨大なプナカ・ゾンがある。火災や洪水で荒廃していたが、今は復元修復され壮麗な姿になっていた。わが国の文化庁の支援が与っていると聞く。内部の中庭から見る諸建物が、細かい彫刻や極彩色で素晴らしい。ツェチェ (お祭り) の仮面舞踏が見ものという。ここは必見のゾンである。
 数キロ下流の平地にブナカ・ニュータウンが建設中であった。

7.高峰登山は不許可
 外国人に許可されていた期間は、1983年から1990年頃までであって、今は許可されていない。山は神のいる神聖な場所で、かかる自然環境を大事にしたいとのブータン人の願いがあるためである。信仰心と価値観に基くのである。

 マサコン峰
8.トレッキング
 治安に不安があるネパールと違って、山中の治安は心配無用である。手付かずの大自然があるブータンは最高のトレッキングエリアと云える。現地人や家畜の歩く道がルートで、重装備は要らない。樹林の伐採が禁じられているので、ガスボンベ携帯が義務付けられている。コースは三日間の縦走路から、三週間のスノーマン・トレッキングまでいろいろとある。温泉のあるガサ迄の道路が建設中で、これが出来るとスノーマン・ルートが脚光をあびるのではないかと期待される。

9.最後に
 地球の歩き方「ブータン」が詳しく最新情報を載せていますので、このガイドブックを参照されて、魅惑のブータンヘ訪問されることを希望します。