<個人山行報告>
豪・Lamington National Parkの沢旅
山行期間:2009年3月5日(木)〜3月14日(土)
メンバー: 山ア 詮 (支部会員)
同行サポート 1名
豪QLD Lamington National Parkに行ってきました。今回は「沢」というよりも沢沿いのトレッキングコースを歩いてきました。何よりも印象に残ったのは圧倒的な「Rain Forest」です。地球誕生以来人の手が加えられていない、自然のままの姿に感動を覚えました。樹や草も「生き物」として闘っている壮絶な姿を目のあたりにし、「生きる」ということの「意味」を改めて問いかけられている思いがしました。闘って、生きて、朽ちて、根に還って・・壮大な輪廻の果てに「いのち」はどこに向かっているのだろうか・・・そんなオントロジカルな問いかけが、自らのうちに湧き起こって来るような「沢旅」でした。

写真はLamington National Parkの位置(右の海はGoldCoast)
3月6日 Rain Forest
Lamington NPのBinna Burra Lodgeにチェックインし、簡単な昼食を済ませてすぐに周辺の散策に出かける。13:00、Lodgeは標高800mほどの尾根上にあるので、初秋のこの時期、気温は20度前後でとても爽やかだ。また、日本との時差が1時間しかないので、身体も大変楽だ。Nixon
Riverに下るコースに入ってまもなく、目の前を走る巨大な動物を見る。1m以上もあるトカゲだった。さらに5分もしないうちに、また1m近い魚のようなうろこのトカゲを見る。一人旅で生まれてはじめて目にする動物たちに、神経がそばだてられる。周囲の樹は30mはあろうか。風にざわめき、鳥たちが鳴きかい、静寂な雰囲気とは程遠い。ところどころにあるLook
Out(見晴台)から、対岸のCliffや遠方の山を見る。目にするものや景色がみんなもの珍しい。1時間半ほど下って、谷に程近いあたりまで来た時、バサッバサッとなにやら大きな葉にあたる物音。突然の雨だった。雨具は用意しているが、どれだけ降るか分からないので、引き返すことにした。Rain
Forestをさ迷っただけの散策だった。16:00

写真はRain Forest
3月7日 Coomera River
東向き斜面に建てられたLodgeからは日の出を拝むことができる。今日は15年来思い続けたCoomera River に行くつもりなので、Lodgeの朝食も食べずに7:00出発する。
よく整備されたBorder Trackを辿り、Coomera Circuit にはいる。川に向かって下るにつれ、トラックはジメッとしてくる。途中で青白の入り混じったカラフルなザリガニを見る。標高600m辺りにはコンターラインに沿って高度差100mばかりのCliff
Lineが両岸にある。このLineが谷に向かって合わさる地点はCoomera Gorgeを形成している。このゴルジュ突破はかなり難しそうだ。トラックはゴルジュを右下に見下ろしながら右岸のCliff上を辿りCoomera
Fallの上で川とクロスする。 8:50。 その後渡渉は何回かするが、橋がないので、水量によっては渡れないだろう。はじめて見るCoomera
Riverは美しい。岩と水と樹、その総体として生み出される「沢」。「父が心配だから」と同行してくれた娘の渡渉を手助けしながら、沢沿いのトラックを進む。沢の姿が終始見られるのが嬉しい。約5kmの沢沿いコースを歩き、源流でBorder
Trackに合流する。
10:50 Border Trackを右に辿り主稜線のLook Outで昼食をとる。分水嶺となる主稜線はNew south Wales州とのBorderとなっている。主稜線の南側はLamington側と反対に厳しいCliffとなっていて見晴らしがいい。
12:20ゆっくりと昼食をとった後、原生林の中のよく整備されたなだらかなBorder Trackを辿ってLodgeに戻った。14:40

写真はCoomera Fall
3月8日 Morans Fall
Binna BurraからO'reillysへ移動した。O'reillys Guest Houseも標高900mほどの尾根上にある。こちらはBinna
Burraに比べてかなり規模が大きく、Gold Coastから日帰りツアーで来る日本人観光客も多い。午後2時にチェックインして近くのMorans
Fallを見に出かけた。稜線の車道を約1km下り、案内板にしたがって樹林の中の登山道をMorans Creekに向かって下っていく。このあたりもすばらしいRain
Forestに包まれている。30分ほどでMorans Fallを眺めるLook Outに着く。落差80mくらい、ワイドに側壁を巡らした堂々とした滝だ。登山道をそのまま進むと滝の頭に出た。15:00。この滝の下流はMorans
Gorgeと呼ばれている。Information Centreの話では「このGorgeは非常に危険なので、一般の人は誰も近づかない」とのことだった。滝頭を左岸に渡り、整備された登山道をたどってO'reillysに戻った。16:10

写真はMorans Fall
3月9日 Toolona Creek
Toolona CreekはCanungra Creek West Branchの左俣にあたる支流だが、主稜線まで上がるので、水量は右俣とほぼ同じくらいある。雨模様の空を見上げながら、朝7時30分にO'reillysを出発。Border
Trackを30分ほど進みCanungra Creekに向かうTrackに入る。右俣を渡り、標高を維持しながら回り込んでToolona Creekに入る。9:10。この谷も重厚な原生林の間を、数多くの滝を落しゴルジュを形成しながら流れ下っている。O'reillys(Green
Mountains)を紹介するパンフに掲載される写真の多くもこの谷の情景だ。Trackは大滝があると離れるが、たいてい滝見道があり、ほとんどの滝を見ることができる。源流にいたると雨が降り始め、風も樹々を鳴らし始めている。あたりには霧が立ち込め、とても幻想的な風景だ。11:00、稜線直下のBorder
Trackに抜け出る。少し広いところを見つけて、昼食をとろうと腰を下ろしたところ、蛭が上がってきているので、早々に撤収して退散。そのままBorder
TrackをたどってO'reillysまで戻った。14:30

写真はToolona Falls
3月10日 Canungra Creek West Branch
昨夜来激しい風雨が続いている。さすがは『Rain Forest』と呼ばれるだけあって、大台ケ原で遭遇する雨を思い出させる。昼過ぎに少し小降りになったので、14:00、沢装備で出発する。昨日のコースの途中からCanungra
Creek West Branchの左岸高く付けられたBox Forest Circuitに入る。この周辺は地上1m高の樹径が2mを超えるような巨木が圧倒的な存在感で森を構成している。このような樹々との出会いに『神秘』さえも感じる。雨足が再び激しさを増してきている。風も樹々を揺らしている。川まで下って上流に向かって登っていくと太い倒木下の空間に若い女性の登山者が2人、雨宿りしている。彼女たちの言うところによると、「この先で川が増水していて渡れない」とのことだ。14:50、とりあえず行ってみると、水は多いが、濁ってもおらず、沢装備なので楽に渡れた。父を心配して付いてきた娘は靴を脱いで渡った。ここからは私は川の中を、娘は川沿いの登山道を歩く予定だった・・・が、突然、キャ〜という娘の悲鳴!娘のズボンに蛭が付いているのだった。ここからの沢沿いの道はいたる所に蛭がいて、立ち止まることができない。風雨が強まり辺りは夕刻のように薄暗い。パニックに陥っている娘を励ましながら雨の中を進み、15:30、昨日歩いたToolona
Trackに着いた時には本当にホッとした。気持ちを落ち着けて、服やズボンや靴に付いている蛭を点検して落し、O'reillysに続くTrackをたどって帰った。16:40

写真はCanungra Creek West Branch
(記録:山崎 詮)