第二回 100周年記念シンポジュウム

     の開催について        重廣恒夫
               

 昨年7月22日に東京体育館で開催しましたシンポジウム第1回「日本山岳会のこれからを考える=1970年以降のヒマラヤ登山の果たした役割とは=」 に続いて、2月11日に日本青年館にて第2回「=日本山岳会と登山の未来に向けて=」と題してシンポジウムが開催されます。
 既に支部報や会報で報告されているように、昨年、日本山岳会は創立100周年を迎え、各地で種々の催しが行われました。中でも記念行事の目玉となった中央分水嶺踏査は、全員参加の掛け声のもと会をあげて取り組み、全体の約91%以上を終えたとの報告を受けています。10月15日には、新高輪プリンス 「飛天」 において、海外からの来賓や招待者も含めて1000人近くが集い、盛大かつ厳粛な式典が開催され、さすが伝統ある日本山岳会と思わせるものがありました。しかし、その記念式典や、全国8ブロックで開催された支部の記念式典にも、若い会員の姿は少なかったのが気になりました。なぜ若者たちは記念式典の会場に足を運ばなかったのでしょうか。特に式典に先立っておこなわれた記念講演での講演者の一人は、世界屈指のクライマーと評価される山野井泰史であるにもかかわらずにです。80周年、90周年の記念式典を思い出してみますと、晩餐会会場には少ないとはいえヒマラヤ遠征で真っ黒に日焼けした隊員達の姿がありました。それが今回は、ヒマラヤのトレッキングやピークハントに出向いた元気な中高年会員の情報を交換する光景に変わっていました。
 社会環境の変化の中で、自ら夢を描き実現することが困難になった若い世代と、若い頃の夢を実現できる環境が整ったリタイア組の活動の格差が大きくなり始めたという状況を目の当たりにし、複雑な思いであったのは私だけではないでしょう。おそらくこの状態は、2007年に定年を迎える「団塊の世代」の新たな行動によってさらに顕著となると予想します。しかし別表に見るように、山岳会の会員は熟年世代だけで構成されているのではなく、老若男女が集う組織です。問題があるとすれば、会の運営が熟年世代に偏りすぎていることではないでしょうか。会が歴史を積み重ねることによって起きる現象と言ってしまえばそれまでですが、そこに世代間断裂の生じる原因があるのではないかと推測します。
 それにしてもここ数年会員の減少が顕著です。現在の山岳会は大学の山岳部や社会人山岳会で経験を積んだ人達だけではなく、第二次登山ブームによって山登りを始めた熟年世代の人達の集まりであるのが実情です。会員減少の内訳は物故者の増加だけではなく、ベテラン会員と新入会員の双方に退会者が見られることです。この点に関しては若い世代の活性化だけでなく、あらゆる世代の新入会員に対しても満足してもらえる山岳会活動の実践が必要であると考えます。
 山岳会の会員数はこれまで右肩上がりで増えてきました。それだけに昨今の 「会員の減少」は、いまだかって山岳会が経験したことの無い現象であり、これからの100年をどうするのかという会としての方針を早急に出していかなければなりません。 今回のシンポジウムは若い世代が山岳会に何を期待しているかを把握し、次の時代をどう創り、どう進んでいくべきかを、会の若い人達に聴く機会であり、さらに会員がクロスジェネレーションによって、世代間交流を生み出し、若い世代をサポートする機運を生み出すために行なうものです。
 関西支部におきましても会員の減少は直面する大きな問題であり、「中央分水嶺踏査」に続いて実施予定をしている「四国分水嶺踏査」 につきましてはただ単に分水嶺の踏査を行なうだけでなく、この機会に四国在住の関西支部員との交流を深め、さらに四国在住の山登り愛好者も交えての活動として推進し、今後に予定している会員の強化や会友制度の実現の出発点にしたいと考えています。