山の日制定に向けて

重廣恒夫

「山の日」プロジェクトについて

 会報『山』10月(733)号で告知されているように、山岳会では「山の日」制定に向けプロジェクトが動き出しました。現在おかれている山岳会の危機的状況を打破するために、尾上新会長は「JACの再生と復権」に向けて、4つのプロジェクトを提案、担当者が決まり活動を開始しています。そのうちのひとつが成川常務理事をリーダーとしたこのプロジェクトです。すでに全国28の支部に「山の日」担当者が決まり、関西支部では金井副支部長が担当することになっています。さらには、首都圏・越後・山梨の関東3支部を本部ブロックとして北海道、東北6支部、東海・静岡・信濃支部、京都・岐阜・福井・石川・富山の中央5支部、関西支部・広島・山陰支部、九州5支部の7ブロックの代表が加わって本格的に始動することになります。先般の支部長会議(9月開催)ではすでに「山の日」を決めて実施をされている広島支部や山陰支部などから現状報告がありました。今後の活動内容としては、@登山活動=市民登山・ハイキング・親子登山(幼児対象)・登山教室など。A文化活動=講演・シンポジウム・図書・写真・絵画展・スケッチ会など。B環境保全活動=森作り・里山保全・観察会などがあげられています。

「山の日」とは

 日本で最初に「山の日」を提案したのは日本アルパインガイド協会です。他の山岳団体にも呼びかけて10月3日を「登山の日」にしょうと言うもので、1991年のことでした。2002年には、国際山岳連盟がその代表の国際社会を反映する共通テーマに年間取り組んでいこうと定め、「国際山岳年2002」が日本で開催され、国際山岳年日本委員会によって提唱されました。国際連合は、国際山岳年を記念して、2003年以降毎年12月11日を「国際山の日」とすることをアナウンスし、世界各国で山に関する催しを開くことが期待されましたが、その後は、尻すぼみになった経緯があります。
 そんな中、広島では、2002年6月1・2日には東広島施の憩いの森公園で、「第一回のひろしま“山の日”県民の集い」が開催されました。今年は8回目となり、多岐にわたった活動が繰り広げられ1万人が参加する行事となっています。四国でも2004年11月14日に「四国森林管理局、四国4県、嶺北交流ふれあい推進協議会」で四国の森作り実行委員会を組織し主催。パネルディス日ション後の共同宣言で、@森林整備の推進、A材木の利用促進、B森林環境教育活動の推進、C11月11日を「四国山の日」として、四国の森を四国各県民の共有財産として守り育て行くことについて宣言し、各県で活発な活動が行われています。その他の件や団体でも「山の日」の活動が行われており、2002年に宣言された「山岳憲章」の根幹をなしている自然保護・自然保全など、将来の世代に豊かで寛厚な自然環境を継承していくことに力点がおかれているようです。
 多くの支部員が暮らす大阪に於いても2005年11月12日に宣言された、「おおさか“山の日”」は「私たちは、様々な恵みを与えてくれるこのおおさかの“山”を見つめ直し、おおさかの“山”を守り育てながらかけがえのない“山”を次の世代に手渡していくことを大阪府民として宣言します」と結ばれています。
 JACとしては毎年6月から8月にイベントを集中させて、祝日としての「山の日」制定につなぐことを期したいとしますが、すでに全国で、広範な時期に、多岐にわたって「山の日」の行事が行われている現状では難しいと感じます。支部委員会においても「山の日」の活動実施について議論しましたが結論がでるはずもなく、ましてや各支部が独自に「山の日」を決めて活動することによって将来の混乱を招くという懸念もあります。このような現状を踏まえ、すでにある活動を土台にするほうが良いとの考えから、11月第2土曜日の「おおさか“山の日”に連動し、山に親しむ推進月間内での活動として11月14日(土曜日)に「著者と語る会」に元副会長の平林克敏支部評議委員にお願いし、大阪府立中央図書館で講演会を開催しました。また、21日(土曜日)には、むろいけ園地にて「孫と一緒にハイキング」という、府民参加のハイキングを実施し多数の参加者を集めました。来年度もさらに多くのイベントを企画・実施したいと考えています。

登山の活性化に向けて

 新たに動き出した4つのぷろじぇくとのうち、登山については「JAC・YOUTHプロジェクト」が発足しています。会が抱える若年会員の減少に対応したプロジェクトで、若い会員の入会促進や登山活動の活性化を機軸にすえたみので、今後の事業を通じてその目的を早期に達成して欲しいものです。支部でもこの活動と連動した活動がもとめられていますが、私としては現在の会員、これから入会する会員、ここ数年増加している若い人たちにひとつの目標を提案したいと考えています。
 山岳会では創立100周年を記念して多くの事業が企画されました。大規模なヒマラヤ登山こそ有りませんでしたが、「中央分水嶺踏査」は全国の会員が一致団結して行った壮大な事業でした。「山の日」制定についても、多くの会員が興味を持ちさらに切磋琢磨するという目標を掲げる必要があると考えます。そのよき題材となるのが100周年記念事業で編纂された「真日本山岳誌」ではないでしょうか。北海道北端の山から、南は西表・石垣など南西諸島の山々まで、日本全国の約4000山が網羅されています。すなわち4000山登山の提案です。より多くの山に興味を持ってもらうことにより、登山者の分散化による自然環境へのダメージを低減することができます。さらに身近な山から一歩一歩経験を積み重ねることによって登山者の全般的なレベルアップを図り、しいては初歩的な原因による山岳遭難事故の低減につながると考えます。さらに四季を通じた全天候登山で、現在地の把握、ルートの確認、道迷いの防止というナビゲーションの初歩的な技術を学ぶこともできます。
 実施を推奨するにあたり、次のようにていあんします。『真日本山岳誌』に載っている登った数や累積標高に応じ、表彰制度や難易度によるポイント制を導入する。これは、中高年登山者だけでなく、難コースや冬期登山など若手でないと登れない山も多いため、多くの人たちに興味を持ってもらうことが必要だからです。登山の実施は「山の日」プロジェクトのブロックや県単位など細分化して実施できますので、参加人数を増やすことができます。またGPS登山(すでに(社)日本ウォーキング協会がKDDI株式会社などと提携して実施を開始している)で、登山記録管理サービスなどを行う。GPSから歩行距離・歩数・歩行時間・消費カロリーなどの計測や確認だけでなく、自宅パソコンで登山記録が地図やグラフで表示されるので、登山目標の設定や進捗状況を確認することができ、表彰や認定制度の導入などにも役立つと考えます。これからの実施詳細については、次号で述べたいと思います。


2009年12月 日本山岳会関西支部報 137より