厳冬期の「雪の比良・輪かん山行」は、今年の記録的な暖冬のせいで、まるで残雪期の春山を歩くようなのんびり山行になってしまった。
JR近江高島駅から江若バスに乗り、終点の畑で下車。 棚田の連なる田園風景を眺めながらストレッチを済ませ、ボボフダ峠を目指して出発した。 某氏はいつの間にかフキノトウをたっぷり収穫している。 農道を伝い「広域林道
鵜川村井線」に出て左へ30mほどの所に道標があり、ここが蛇谷ヶ峰への登山口になる。
谷の左岸沿いに10分ほど歩き、小さな滝のすぐ上流を右岸へ渡ると、段々畑のようになった杉の植林帯が現れる。 これを登り詰めて右に回り込むと、先ほど渡った谷の上流に出た。 左岸へ渡り返したところで休憩。 ここからボボフダ峠まではずっと尾根道になる。
登山道は、尾根筋の右に出たり左に回り込んだり、急傾斜を巧みにかわしてどんどん高度を稼ぐ。 直径1m以上ある大きなモミの木が現れると峠は近い。 約30分の登りでボボフダ峠に着いた。
ここからは、緩やかなアップダウンの稜線歩きとなる。 10分ほどで「滝谷の頭」。 例年のこの時期 なら、高さ1m程の標柱はすっぽり雪の下に隠れているのだが、この辺り雪は谷筋に残っている程度で、稜線を伝う登山道に雪はほとんど見られない。
標高点752を過ぎたあたりから、ようやく登山道の所どころに雪がでてきたが、ブナの樹のまわりの雪は溶けて根回り穴を形成しており、早くも春山の様相を呈している。

標高790m辺りから始まる急登をこなし、あとは、なだらかな登りで12時前に蛇谷ヶ峰に着いた。 途中、南南西に見えた武奈ヶ岳は真っ白に輝いていたが、蛇谷ヶ峰の山頂周辺に雪はない。
風を避け、少し下に降りて昼食をとることにした。 記念写真を撮り、北東斜面をくだる。 この斜面には雪がたっぷり残っている。たっぷりといっても深さ20〜30cmだが、雪山の雰囲気をちょっぴり味わうことができた。
標高点817のあたり、陽あたりのよい平らな場所でゆっくり昼食後、下山開始。
朽木スキー場への道と別れ、公社営林地の看板を確認して、南東に向かう尾根に入った。
深雪なら絶好の「輪かん」くだりが楽しめる広い尾根だが、残念ながら雪はない。
しめった落葉で滑りやすい急斜面を、立木を掴んでバランスを取りながらどんどんくだる。 右の植林帯と左の自然林の境目が、ちょうど稜線の中心になっている。 斜面が緩やかになった所で休憩。
バス時間に余裕があるので、できるだけゆっくり歩いたつもりだが、それでも下りは早い。 富坂尾根に入ってから45分程で蛇谷本流の堰堤に着いた。 あとは林道と農道を歩いて、富坂の集落に入り、玉津島神社周辺でのフキノトウ採りなどで時間をつぶしてから、歩いて10分程の富坂口バス停に向かった。
輪かん歩きの雪中登山のはずが、春山ハイキングになってしまったが、今年の雪の少なさは確かに異常だ。 1月の敦賀の街にも雪は見られなかった。1月2月の平均気温は、日本の各地で観測史上最高気温を記録したという。 暖冬もあれば寒い冬もあり、当然降雪量も年によって大きく変わるが、 地球上の大気温度が測られるようになって以来、年間気温の高い上位10年は、すべて1990年以降に集中しているとのこと。 今年の蛇谷ヶ峰の異常小雪がその直接的な影響かどうかは分からないが、地球温暖化は確実に進んでいるようだ。
最近見た「不都合な真実」という映画は、実に衝撃的だった。 アメリカ元副大統領アル・ゴア氏の地球温暖化に関するプレゼンテーションをドキュメンタリー映画化したものだが、例えばキリマンジャロを同じ角度から撮影した1970年の映像と2000年の映像。 輝く氷河に覆われていた山頂一帯が、この30年間で、残雪がまだらに残る春山のように変化した様は、見る人に大きなショックを与える。 中国のミニヤコンカの大氷河が、この15年で270mも後退したという新聞報道もあった。 地球温暖化は素人の想像以上に激しいようである。
今まであまり真剣に考えたことはなかったが、おそまきながら今年の冬山で始めて地球温暖化(ゴア氏はこれを”気候クライシス”と呼ぶ)の影響を身近に感じたような気がする。 われわれの愛する雪山が年々減少して行くのはたまらない。大自然を守るために少しでも貢献できる方法はないものだろうか。 小さな一歩でもいい、微力ながら、なにか具体的な行動を起こすべきではないか、という思いが高まった。日常生活での省エネルギーは当然だが、例えば植樹。一本の木は、その成育中に1トン以上の二酸化炭素を吸収するという。遅きに失した感はあるが、せめて先輩方のすでに実行されている「ブナを植える会」や「森づくり」の催しに、できるだけ参加させていただこうと思う。 (写真: 浦上芳啓、中島隆)
【期日】07年2月25日(日)
【コースタイム】畑バス停9:40---林道登山口9:55〜10:00---徒渉地点10:2〜10:25---ボボフダ峠(須川峠)10:50〜11:00---滝谷ノ頭11:10---蛇谷ヶ峰11:55〜12:05---遊歩道分岐(標高点817)12:15(昼食)13:10---造林公社営林地看板(富坂尾根分岐)13:20---尾根分岐13;55---蛇谷堰堤14:05〜14:20---玉津島神社14:30〜15:15---富坂口バス停15:30
【参加者】岩崎しのぶ、浦上芳啓、中島 隆、秦 康夫、前田正彰、宗實二郎、
(会員外)1名、 計7名。
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