清水ヶ峰は奈良教育大学が学生実習用に管理する国有林の山である。地形図に山名は記載されていないが、三等三角点の点名「清水」から大学が「清水ヶ峰」と名付けたようである。山頂を除いて展望はないが、二次林の自然林が残り植生は豊かでトチノキ、ブナ、ミズナラの巨樹も点在している。頂上に至る登山道は幾筋もあり、道標代わりに黄色いペイントが樹木に塗られている。登山口からの標高差もおよそ八百bあり、日帰り登山には最適の山である。
登山口は大学の自然環境教育センターの裏手にあるので、管理人の許可をえて入山する。のっけからの急登で、スギ林の斜面についたジグザグ道を登るが、間伐が進み雰囲気は明るい。
作業道の分岐点にある最初のベンチが見えると「もう休憩なの」と後ろから元気なSさんの声が上がってくる。二本の松が株元で一体となった「夫婦松」を見て、雑木林の中を登ると「十坪平」の平坦地に出る。ここでベンチに座り一息いれる。
←トチノキ回廊にて
さらにミズナラやブナの間をジグザグに登ると「標高800m」地点に着く。ここで登山道が分岐し、山腹を巻く「トチノキ回廊」と植林帯に沿って山頂に向かう尾根コースに分かれている。下山時に尾根コースを採ることにして、トチノキ回廊を進む。高低差の少ない、しっかりした道である。やがて右下の斜面に奈良県一大きいといわれる「トチの巨木」が二本現れる。KさんとIさんが早速、急斜面についた観察路を下り、大きな空洞に潜り込んでいる。

ザレた踏み跡をたどり少し下ると「シャクヤク沢」に出る。シャクヤクの株は見あたらないが、白いトリカブトが咲いている。数年前に大峯の深仙宿にこんな珍種がありましたと絵はがきをいただいたことがある。調べてみるとトリカブト属のシロバナサンヨウブシであった。
沢を少し登った登山道分岐で右をとり、山腹を西に進み、七号鉄塔の下に出る。ここからは踏み跡が薄くなるが、木々についた黄色いペイントを追って行けば予定のコースを進むことができる。わずかに開けた平坦地で昼食。
尾根を一つ越えて二つめの沢に下る。数年前には岩をつかんで下り、木の根にすがって登ったこのコース唯一の難所であったのだが、大きく巻くルートが設けられていて問題なし。腱鞘炎は癒えたが握力がなくなったと嘆くY(K)さんには少し幸い。
苔むした「第三のトチノキ」の横から斜面を登り、イノシシのぬたばを過ぎると主尾根上のミズナラ林の広がる「平田平」に着く。落ち葉を踏みしめながらキノコなどを観察しつつゆっくり頂上に向かうと、薄紅色に色づいた小さな果実が足下にたくさん落ちている。コナシで食べられるとTさん。わずかに甘さがある。
←釈迦ヶ岳を望む
広くはない清水ヶ峰の山頂は南東側が開け、釈迦ヶ岳の鋭鋒がそびえている。雲がどんどん後退し、南奧駈道の稜線や七面山、大きな中八人山塊がくっきりと見えている。ただ中八の背後、一番奥にそびえるピラミダルな高峰の名前が分からない。台形であれば笠捨山であるのだが。しかし、笠捨説をとるYさんは帰宅してから写真とカシミールで確認しメールを入れてくださった。一つの記憶に執着しすぎると、簡単な問題が解けないとの教訓である。
先月(九月)、釈迦ヶ岳から吉野に歩き、奧駈道の順・逆峰(往復)修行を満行したMさんの話しを聞きながら、ブナ林の尾根を北に向かう。林間に「スズタケ」の表示があるが、成長したブナの林床は落ち葉だけで、もはやスズタケの姿はない。
九号鉄塔の下から下りに入り、シャクヤク沢への道を左に見過ごし、どんどん高度を下げると「標高800m」の地点に下り着く。あとは十坪平を経て登山口まで三々五々下ってもらう。最近、体重を大幅に落としたNさんはもう少し汗がかきたいと脱兎のごとくに下って行った。
清水ヶ峰の登山希望者は、あらかじめ奈良教育大学会計課経理係(Tel:0742-27-9359)に連絡してください。
【期日】 07年10月13日
【コースタイム】(省略)
【参加者】 岩崎しのぶ、久保和恵、先水美智子、中島隆、宗實慶子、芳村嘉一郎、森沢義信、 会員外3名(芳村和子、竹村洋三、蓮川博凡)、計10名
写真 : 中島 隆
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