支部山行 07−13

氷雪クライミング練習会

岩崎しのぶ



今回の講習会は生徒数4名、そのうち会員2名と淋しい参加者数ではあったが、少数ならではの内容の濃い充実した講習だった。

 8時半JR生瀬駅を出発、蓬莱峡では初参加の女性が待っていた。
 まずは砂地斜面でのアイゼンワーク。アイゼンは常に爪全体が雪面に当たるようフラットに置く。アイゼンを引っ掛けないよう両足は開き平行に歩く。急斜面の登りでは爪先を逆ハの字に開き、下降は重心がアイゼンの中心位置に来るよう膝を曲げ気味にする。斜面のトラバースは山足を進行方向に、谷側の足は少し谷側に開き共に雪面にフラットに歩く。緩斜面から次第に高度を上げ、かなりの急斜面にまで挑戦する。僅かの気の緩みも事故に繋がることを肝に銘じ、学んだことを忠実に守り上り下りを繰り返す。

 緊張の連続の中での小休止、あたりを見渡せば澄みきった青空のもと山々は紅葉真っ盛りだ。素晴らしいロケーションに暫し心癒される。

次は氷河を歩くことを想定した確保技術を学ぶ。まずシュリンゲをロープに取り付ける方法としてマッシャー結び、バックマン、クレムハイストノットを教わる。
 基本的に氷河上ではアンザイレンし歩行する。転落事故が発生したときどう対処するか。これにはショートロープ法とN型アンザイレン法がある。
 ショートロープ法はガイドなど、トップは絶対に落ちないという前提のもとに使用する。トップとセカンドの間隔は出来るだけ短くし余分なロープは肩掛けし末端処理する。常にロープは張った状態にする。

 N型アンザイレン法はトップとセカンドの間隔を10〜15m取る。セカンドが転落した場合、ショートロープ法は末端処理部分にピッケルを突き刺して確保するのに対しN型アンザイレン法はムンターノットとミュールノットを組み合わせたムンターミュール法を使ってロープを固定する。これによりトップは身体をロープから離すことが出来、救助体制に入れる。両方法を体験するが、操作が複雑な上ロープにはかなりの強度がかかる。この状態で冷静に確保体制を取るにはかなり訓練を積まないといけないだろう。 

午後からは救助の訓練に入る。大屏風の下降路にロープを4本セットし、アイゼンを付けての登降訓練をする。登りはまだしも、降りでの姿勢が難しい。私たちの鋭利な爪なら確実に止まると言われても、どうしても腰が引き岩を持ってしまう。これなど経験を積み、自分で感覚を掴むより仕方なのかもしれない。

 次に転落者の引き上げ方法。まずは最初に転落者ロープの仮固定と引揚者自身のセルフビレイを取る。1/2システムでの引き上げ法を体験するが、3人で行ってもなかなか上がらない。救助することの大変さを痛感する。

 最後に自己脱出法について学ぶ。ロープをトップで固定し、腕用と足用に2つマッシャーを取り付ける。腕用はハーネスに連結し、脚用は登山靴に巻きつけたシュリンゲと連結。体重のかかっていない方のマッシャーを交互に持ち上げることにより身体を持ち上げていく。これも理屈どおりにはなかなか体が言うことを聞かない。私たちは壁を使うことにより辛うじてバランスを保つことが出来たが、これが完全な宙吊りの場合は不安定で相当の体力を要すると思われる。これをマスターしない限り、氷河上を歩くなんて遠い夢の存在なのかもしれない。

 3時25分講習終了、蓬莱峡出発3時45分。緊張の連続だっただけに終了とともにどっと疲れが噴き出した。でもこれは爽やかな疲労感。今日学んだことのどれ程が身に付いたのかあまり自信ないが「やった」という充実感は今日一番の収穫だ。これが明日への新たな活力に繋がるものと信じています。
 
 他の方とは違い、理解力・記憶力ゼロの私にも熱心に指導していただき有難うございました。機会のある限り今後も受講したいと思います。今後の企画に期待しています。

【期 日】 平成19年12月1日(土)
【場 所】 蓬莱峡
【参加者】 山本一男(指導者)、河野直子、岩崎しのぶ、会員外2名